【本】『孟子』
松蔭の愛した『孟子』
日頃から『易経』を手にしているのですが,『論語』を始めとする四書五経を一通りでも学ばねば・・・とは思っていました。
中でも『孟子』は,かの吉田松陰の愛読書の一つでした。『講孟余話―旧名講孟剳記 (岩波文庫)』という『孟子』に関する講義録もあります。
あらためて『孟子』について学びたい・・・と思ったのがきっかけです。
ただ,「四書」のうち,『論語』と『大学・中庸』については,岩波文庫から金谷治氏の訳注で出ていますが,『孟子』は金谷氏では出ていない。
せっかくなので・・・と思って手に取ったのがこの『孟子 (岩波新書)』でした。
『孟子』の思いと時代背景がわかる
孟子は,「孔孟」と,孔子と並び称される人物。孔子が聖人,孟子は亜聖とも呼ばれます。
孔子の教えを受け継ぐものとして,儒教の中で重要な位置を占めています。
また,「孟母三遷の教え」など,『孟子』を読んだことがなくても,見聞きしたことのある話もあります。
「孟子は性善説」というのも,学校の「倫理」の授業などで,あるいは世界史などで「事項」としては習います。
しかし,恥ずかしながら,ちゃんとわかっていたか?というとそうではありません。
ただ,そういうことを「知っている」というだけです。
この岩波新書の『孟子』は,「四書」の『孟子』ではありませんが,孟子の考えをテーマ毎に整理し直し,提示し,その時代背景や後世の批判・批評,あるいは摂受の流れを説明します。
非常にわかりやすく,孟子という人物が立体的に浮かび上がってきます。
孟子は孔子を受け継ぐ人
やはり孟子は孔子の教えを受け継ごうとした人だと感じます。
孔子の教えの中でも「仁」の大切さを説き,為政者に仁をもった政治をするべきと説いて回ります。その行動も孔子を彷彿とさせるところがあります。
実際にそれが実現されたのかどうか。
理想は高いが,やってられないよ・・・と当時の王たちには思われてしまったようですが,孟子が求めた理想の社会,リーダー像は,今にも十分に生きます。
これをベースに,あらためて『孟子』に触れてみたいと感じているところです。
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