【本】『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』
『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』
先日,大阪梅田の紀伊國屋書店に立ち寄ったときについつい衝動買いしてしまった本のひとつ。
元イェール大学助教授で,現在は自身で英語塾を主宰しているという斉藤氏の本ですが。。。。
帯にだまされた感はかなりあります。
「修行はもういい。語学習得法の決定版」
「元イェール大学助教授が公開する世界最強メソッド」
と景気のいい言葉が並びます。
私自身,日本語教育に携わり,自分でも英語を勉強するという「教える側と学ぶ側」と両方の立場にたっていますので,「語学の習得とは?」というのは興味の尽きない分野なのですが…
内容について,全面的に否定するほどのことはありません。
まあまあちゃんとしている…とはいえます(気になることは少しありますが)。
いわゆる「第二言語習得」の研究成果からみて,大ハズレなことは書いていないし,今となっては「非常識」な学習法を未だに押し付けようとする本が残っている中では,論点としてはまともです。
※ただ,TPR(全身反応教授法)がイェールで主流なのかどうか,どんな風に教えているのか分からないのでなんともいえないのですが,初級までは良いけど,アカデミックレベルまではTPRでは勉強してないだろう?と思いました。
具体的な方法が書かれていない
この本の一番の問題点は,具体的な方法が書かれていないということです。
確かに,勉強法としての「考え方」は示されている。これは知っておいていいと思う考え方です。
だけど,例えば「シャドーイング」について,具体的にはどう練習したら良いのか?というのは,まだ分からない人も多いのではないか?という不安が残ります。
他にトレーニング法を紹介してないんだから,ここでケチることはないだろうと感じました。
もっと丁寧に解説してあげたらいいのにと思いました。
ということで,「世界最強メソッド」と帯には書いてあるけど,実際には「世界最強メソッドを実行するための背景理論」というぐらいの内容です。
ある程度の英語レベルにある人,第二言語習得研究についての大学教養レベルぐらいの知識がある人,こういう人なら分かるでしょう。しかし,とりあえず英語をどう勉強していったらいいか迷っている方には,具体的に即役立つ内容があるかというと…んーという感じがしました。
紹介されている参考図書は良いものばかりなので,そこは価値があります。
私がお勧めするときに挙げる本がほとんどです(ということでは考え方は近いということです)
Kindle版が1000円で出ているので,それで十分だったなというのが率直な感想です。
関連記事
-
-
【本】日経サイエンス9月号(2014年) 特集『記憶』
あなたは3年前の今日,何をしていたか覚えていますか? 今月の日経サイエンス2014年09月号の特集
-
-
【ラジオ英会話】2014.4.9
今日のラジオ英会話はIDIOMがたくさん出てきましたね。 break off one's en
-
-
【本】【雑感】芥川賞
芥川賞受賞作品『火花』の増刷 ラジオを聴いていると,芥川賞を受賞した『火花』(又吉直樹著)がさらに
-
-
【本】世界で一番素敵な 夜空の教室
一番明るい星ってどれ? ずいぶんと更新をさぼっていました。 今日は久しぶりの投稿ですが,「星
-
-
【教育】興味を持たせることの大切さ
コンパスと定規があれば無敵 小学校高学年の頃のことだと思います。 角川文庫から出版されていた
-
-
【本】『考える鉛筆』
やっぱり鉛筆が好き 文房具好きにも色々なタイプがあって,なんでも好きという人から,特定の分野にこだ
-
-
【英語】英単語学習の大革命!? Part 1
Amazon Kindleで英単語学習に革命が起きる!? Amazon Kindleはご存知でしょ
-
-
【読書】『嫌われる勇気』
正月明けに書いたマインドマップなので,ちょっと前のものなのですが,最近またあらためて仲間内でアドラー
-
-
【絵本】『もうぬげない』
表紙に惹かれて 絵本を選ぶのは難しいものです。 特に読み聞かせする子供が身近にいるわけではなく,
-
-
【易経】『リーダーの易経』
龍の物語で読み解く『易経』の入門書 待ちに待った新刊 易経研究家の竹村亞希子先生の最新刊が出まし
- PREV
- 【英語】「英単語学習の大革命!?Part2」
- NEXT
- 【英語】「英単語学習の大革命!?Part3」
