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【易経】「音読まとめ(2周目)『坤為地』」

公開日: : 易経

『易経』音読まとめ(その4)2周目

前回の『易経』音読まとめ(その3)2周目では,『乾為天』についてのまとめをしましたが,今回はその続きで『坤為地』についてまとめます。

乾為天が全陽,天を表す卦で,坤為地は,全陰,地を表す卦です。
乾為天では各爻が竜になぞらえていきますが,坤為地では牝馬に例えられます。
乾と坤の2つを深く,深く理解できれば,『易経』の世界もより良く見えてくるのではないでしょうか。

『坤為地』まとめ

【毎日易経】牝馬の貞に利ろし(坤為地)全ての爻が陰である坤為地。乾為天が竜であったのに対して坤は牝馬に例えられる。徹底して従順な陰の徳を貫くこと。人の先に立たず,主の後についていくことで道が開ける。ただし,見せかけでなく心から従わねばならない。貞に安んずる姿勢が求められる。

【毎日易経】彖に曰く,至れるかな坤元,万物資りて生ず(坤為地・彖伝)全てが陰の坤は大地。限りない広さで全てのをものを受け入れ,万物を育成する。陰の徳は限りない受容,包容力。この一言に坤の全てが凝縮されている。どこまでも広がる大地が全てを載せている様をイメージできるだろうか。

【毎日易経】初六,霜を履みて堅氷至る(坤為地)初秋に霜がうっすらと張った段階でやがて堅く氷が張る冬の到来を察知できるかどうか。最初は微細な変化であっても,やがて身動きが取れないほどの事態に至る。悪事の最初は「気にならない」レベルかもしれないが,その段階で注意し,止めるべし。

【毎日易経】六二。直・方・大なり(坤為地)直は素直,純直。方は方正(正方形),大は盛大。素直で方正,大いに盛り上げていく徳が備わっている人は,何ごとをも素直に受け入れていく「地」の徳の持ち主。ぐんぐん伸びていくのが分かっている。まさに地の徳。

【毎日易経】六三。章を含みて貞にすべし(坤為地)「章(あや)」は文章才能の美。そこから才能,能力全般と言って良い。三爻は陽の位で,そこに陰でいるから本来相応しくない。そのズレをよく認識し,才能をひけらかすことなく,陰,つまり従順である姿勢を貫くことの重要性を説く。

【毎日易経】六四。嚢を括る。咎もなく誉れもなし(坤為地)第四爻で陰柔の位。しかも君子のすぐ下にあるという立場ゆえに,あまりに己の才覚をひけらかすことは望ましくない。嚢の口を絞るように才能を外に出さず,言動を慎めという。そうすれば誉れもないが,酷い目に遭うこともない。

【毎日易経】六五。黄裳,元吉なり(坤為地)五爻は君子を示す。「黄」は古代中国で皇帝を象徴する色。五爻の君子は,その黄色を裳,すなわち下履きに使っていて,表に出さない。中庸にして従順な謙譲の徳を備えた君子であれば,おのずと吉になる。

【毎日易経】上六。竜野に戦う。その血玄黄なり(坤為地)坤の卦は全て陰で,本来は全てを受け止める大地であり従の卦。しかしその卦も窮まる(第六爻)と,陽の乾(竜)に負けない勢力をもちかねない。ぶつかれば争いになり大地は血にまみれる。陰の勢力の増大による弊害を言う。

【毎日易経】用六。永く貞しきに利ろし。象に曰く,用六の永貞は,大をもって終るなり(坤為地)用六は,陰の徳をいかに用いるかの基本を示したもの。陰徳の本質は従順,柔和,受容。ただただ積極的に前に進むだけでなく,大きく受け入れる陰の徳をうまく使うことが繁栄の要という。

【毎日易経】文言に曰く,坤は至柔にして動くや剛なり(坤為地・文言伝第一節)第一節は象伝・彖伝の解説。坤は全爻が陰で,ひたすら柔順,受容の卦であるが,乾に応じる力は誠に力強い。先頭に立たず後に付き従い,乾を受けて万物を生み出す。坤の陰徳の大きさを言う。ただただ柔順あるのみ。

【毎日易経】積善の家には必ず余慶あり(坤為地・文言伝)初六「霜を履んで堅氷至る」に呼応する。全てのことは積み重ねであり,「一朝一夕」のことではない。わずかなことの積み重ねで結果にいたる。早い段階からしっかり事態を見極め,適切な処置をすべきという。これは何ごとにも通じる。

【毎日易経】直はそれ正なり,方はそれ義なり(坤為地・文言伝)「直」は心の正しさ,「方」はその行いの正しさをいう。君子が心を正しく持ち,正しい行いを貫けば,徳は自ずと大きくなり,信頼を得る。「直方大なり」に繋がる。何も疑問に持つこと無く素直に進めばよろしい。

【毎日易経】地の道は成すことなくして,代わって終り有るなり(坤為地・文言伝)全陰の坤はひたすら柔順,受容する。それが地の道,妻の道,臣の道。成果・成功を己のものとせず,あくまで舞台裏,影の存在,縁の下の力持ち。それが本当の意味での坤の生きる道なのだという。徹底している。

【毎日易経】天地変化して,草木蕃く,天地閉じて,賢人隠る(坤為地・文言伝)六四の「嚢を括る」に対応。天地(陰陽)が互いに感応し合い,交われば,万物が生まれ繁栄する。逆に,天地が閉じる,つまり陰陽の交わりが生まれない時期は,賢人と言えどもじっと隠れるしかないという。

【毎日易経】君子は黄中にして理に通じ,正位にして体に居る(坤為地・文言伝)六五の「黄裳,元吉なり」に対応。六五の君子は,徳を備え力を発揮できる立場にあっても,陰徳でもって,自分の分限を出ない。坤の持つ,柔順,受容の陰徳の極みの姿と言える。

【毎日易経】陰の陽に疑わしきときは必ず戦う(坤為地・文言伝)陰も極まると陽に見まごうぐらいに勢力が強まる。だから坤であっても,乾の例え「竜」と称される。しかし,陰は受容,柔順が本質。陰陽が相争えば大地が血に汚れる。「その血玄黄なり」を承けている。

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