【本】『脳が認める勉強法』
学ぶ前に学ぼう
大学受験であれ,資格取得であれ,大事なことは「効率的な学びの方法」を知っているかどうかである。
英語の勉強を例えにしてみよう。
海外駐在員になりたい。そのために社内の審査基準をクリアするだけの英語力を身につけなければならない…という状況で,いくつかの英会話スクールを回ったとしよう。
その際
当校で,毎日5時間,週6日通ったら3年後にはペラペラになりますよ
と言われて入学を決める人はいないだろう。
我々には学びだけに時間と労力を注ぐことはほとんどの場合許されていない。
何かをする時間と労力をやりくりしてようやく捻出している。その1日当たりで数十分,あるいは週に数時間の勉強時間を使って,目標を達成しようと思えば,それなりに「効率」がよくなければならないのである。
学ぶのは「脳」なんだから「脳」の仕組みを知ろう
そこで登場するのが「脳」についての学びである。
学ぶのは「脳」である。記憶するのも思考するのも脳の働きだ。
だから,その「脳」の仕組みを知って,その仕組みに素直に学ぶことが効率いい方法になる…実にわかりやすい発想だ。
このお正月用(?)に買っていたのが『脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!』(ベネディクト・キャリー著/ダイヤモンド社)である。
この本では以下の四つのパートに分かれている。
Part1 脳はいかに学ぶか
→ 記憶の仕組みについての解説
Part2 記憶力を高める
→ Part1を踏まえてうまく記憶する方法を考える
Part3 解決力を高める
→ 知識を放り込むだけではなく,発想,ひらめき,創造性について考える
Part4 無意識を活用する
→ 無意識な学び,睡眠と脳の関係について
全体的には「科学的読み物」として楽しく読むことができるだろう。
目新しいことはあるのか?
もうすでによく知られていることも書かれてあるので,何もかもが目新しいというわけではない。
すでに取り入れられているものも,すでに実践されているものもあるだろう。
だから「ちまたの勉強常識は間違いだらけ!?」と帯に書かれてあるほど,全面的に衝撃的なことだらけというわけではない。
しかし,すぐに取り入れてみたくなる知見もいろいろある。その点では収穫は十分にあった。
自分の学習にも,「教える」という立場でもどちらにも有益な情報はたくさんあった。
どう活かすかは,もちろん,これからの試行錯誤ではあるけれども。
関連記事
-
-
【本】新体系・中学数学の教科書(上・下)
算数から数学へ 私は今,RAKUTOという学習塾で子供達を相手に授業をしています。 子供
-
-
【本】韓非子 ビギナーズ・クラシック
名前だけは知っている 古代中国の春秋・戦国時代に様々な学者が現れ,それぞれの考えを大いに喧伝しまし
-
-
【本】Newton別冊 数学の世界
「0」がもしなかったら 「『0』の発見」は,数学の授業ではなくむしろ世界で出てくるトピックかもしれ
-
-
【本】『男の風格をつくる論語』
やっぱり『論語』 6月末にふと「論語普及会」の本部を訪ねました。 安岡正篤先生の『易学のしお
-
-
【本】Hogwartsの図書館から(Harry Potter)
Harry Potterの世界 真面目な本もいいのですが,昔からファンタジーの世界は大好きで,ここ
-
-
【英語】「英単語学習の大革命!?Part3」
文脈を無視しない Kindleを使っての英単語学習の話を書こうと思って,前置きが長くなりすぎました
-
-
【本】『ビジネスパーソンのための易経入門』
占いでもなく哲学でもない 『易経』とはなんぞや?というと,常に問題になるのは「易の二面性」です。
-
-
【雑誌】ラジオマニア2014
自己ルール 『趣味関連の雑誌について』 できるだけ趣味に絡む雑誌は買わないようにしよう・・・と思っ
-
-
【本】『人生と陽明学』
安岡正篤活学シリーズ PHP文庫の活学シリーズの第2弾に当たるのが,この『人生と陽明学 (PHP文
-
-
【本】『中学受験に失敗しない』
中学受験とはなんぞや? 私は中学受験はしていなくて,高校から京都の私立の進学校に通いました。
- PREV
- 【映画】『怪盗グルーの月泥棒』
- NEXT
- 【2016年】新年のテーマ 〜インプット〜