【追悼】赤瀬川原平さんの死を悼む
「中古カメラウイルス」の発見者
「前衛芸術家・作家の赤瀬川原平氏死去」というニュースが流れました。
今から20年ほど前,世には「中古カメラブーム」の嵐が吹き荒れました。「中古金属カメラ」と言う方がより正確かもしれません。
その当時,「中古カメラウイルス」というものを発見したのが,この赤瀬川原平氏でした。
極めて感染力が強く,一度罹患したら回復は望めず,通院(中古カメラ屋通い)を繰り返し,時には麻酔薬(カード)を使っては一時的な対処療法を行うものの,大抵別の症状が発症し,延々と繰り返される。しかも保険適用がなく,全て自費治療。高額な治療費に多くの患者が苦しんだ中古カメラ病。なんと恐ろしい病か!
ちなみに私も御多分にもれず,中でも「最悪,最強」と言われる「ライカウイルス」にかかってしまい,一時期Leica IIIfだけで12台ぐらいあったという,もう手の施しようがない時期もありました。
その後,無事生還し,今は,LeicaMP6というフィルムカメラとしてのM型ライカの最終形と,0型というライカの原点のようなカメラ2台を残して,全部処分しました。今はほぼ清らかな身となりました。
しかしそこまで行ったのは,原平さんの本の影響に他ならない・・・わたしの人生に大きな影響を与えた人であることには変わりありません。
原平さんとの出会い
最初に原平さんのカメラ・写真関係の文章を読んだのは,月刊誌『日本カメラ』に連載されていた「鵜の目鷹の目」という記事でした。
一枚の写真を題材に,写真の中の人の何気ない視線や,モノから妄想を膨らませ,適当な文章を紡いでいくのがですが,これが面白い。真似できそうで真似できない。軽妙洒脱な文体とあいまってとても楽しい記事でした。
のちに一冊の本にまとまりますが,これは今も大好きな本の一つです。
八面六臂の活躍
この写真の本以外には,おそらく多くの人が楽しんだであろう『金属人類学入門』や,ものすごくストレートな『カメラが欲しい (新潮文庫)』などで随分楽しませてもらいました。
日本語関連では,新明解国語辞典の面白さを発掘,さらに面白く語った『新解さんの謎 (文春文庫)
』なども大人気でした。
原平さんの功績をあれこれ考えていると枚挙にいとまがありません。
路上観察学,超芸術トマソンなど,今のような気軽にスマホでメモ写真が撮れる時代になったからこそ,あらためて探し回ってみたいテーマもあります。
本当に本当に,すごい人だったなぁ。
ありがとう,赤瀬川原平さん・・・(合掌)
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