【本】『小暮写眞館』
公開日:
:
本
ブログ再開
気がつけば半年近くもブログを更新していませんでした。
(最後の更新が昨年6月末)
今年はもう少しブログでの情報発信を意識したいと思います。
まずは本の紹介から
2017年,一つ目の記事は本の紹介から。
(本の紹介記事を書いておくと,読書録にもなるだろうという目論見も少し)
今回手に取ったのは『小暮写眞館』(宮部みゆき・講談社文庫)です。
宮部みゆきはずっと以前,『模倣犯』や『理由』が出版された頃によく読んでいました。
それ以前の『火車』などの文庫本になっているものはもちろん,新刊が出るたびに即買って読むというぐらいに読んでいました。
なんとなく離れていたのですが,「写真」とあるので興味を持って手に取りました。
物語としては,家族とともに古い写眞館付きの住宅に引越ししてきた高校生の花菱英一を主人公に,同級生や家族,その周りの人たちとの関わりの中で進みます。
宮部みゆきはずっと以前に「もう人が殺される小説はこりごり」という趣旨の発言をされていて,今回の作品も殺人事件はおきません。
ただし,「心霊写真」というオカルト要素は入ってきます・・・というよりもそれが一つの主軸。
宮部みゆきは,江戸時代もので怪奇モノも書いていますし,現代ものでも超常現象,超常能力を扱った作品は書いていますから,「範疇」といえば範疇です。
個人的には,心霊写真については信じていないのでもやもやはするのですが,それでも最後まで読ませてくれるのは宮部みゆきの筆力だなと思います。
青春小説?恋愛小説?
講談社文庫版の帯には,上巻のは「最高の青春小説!」とあり,下巻には「最高の恋愛小説!」とありました。
確かに主人公の花菱英一は高校生であり,その家族や友達との生活の様子は,まさに「青春小説」ですし,下巻には「恋愛」(それもちょっと大人びた)ものが入ってはきます。
でもなんだかそういうカテゴライズでくくるのも惜しい感じの小説でした。
家族のあり方という現代的なテーマもあります。
人の生死,命とはなんだろう?というテーマもあります。
人によって受け取るものがさまざまにありそうな,そういう小説だと感じるので,下手に「青春小説」「恋愛小説」と思って読むと,いい意味で期待は裏切られるのではないかと思うところです(逆に言えば,「帯」がセンセーショナルに目を引こうとして,イマイチな感じとも言えます)。
新しく,新潮文庫nexからも4分冊で出ていますが,「講談社創業100周年記念事業」の一環として書き下ろされたという経緯があると知ったので,敬意を表して(?),講談社文庫版を書いました。
関連記事
-
-
【本】『中学受験に失敗しない』
中学受験とはなんぞや? 私は中学受験はしていなくて,高校から京都の私立の進学校に通いました。
-
-
【本】『男の風格をつくる論語』
やっぱり『論語』 6月末にふと「論語普及会」の本部を訪ねました。 安岡正篤先生の『易学のしお
-
-
【本】『三国志』(吉川英治)
「無料」という名の誘惑 世の中に『三国志』ファンは多かろうと思いますが,その最初が「吉川三国志」だ
-
-
【本】『算数的思考法』
「算数」と「数学」の違い 小学生の間は「算数」と呼び,中学以降は「数学」と呼びます。 なぜなんで
-
-
iMindMapアプリでセミナーメモ
マインドマップでセミナーメモ セミナー,講演会などに参加した時に,その講義録にマインドマップを使う
-
-
【Kindle】Harry PotterとKindle
ハリーポッター熱再燃 毎年1回は何かしらで巡って来る「中つ国」熱に比べて,ハリーポッター熱は数年に
-
-
【易経】『易経講話』
『易経講話』(公田連太郎・明徳出版社) 昨日紹介した『易を読むために』でも紹介されてい
-
-
【易・本】『最高の人生教科書 易経』
縁尋機妙で導かれた易経との出会い 私が『易経』に興味を持つようになったきっかけは,小田全宏先生との
-
-
【本】『考える鉛筆』
やっぱり鉛筆が好き 文房具好きにも色々なタイプがあって,なんでも好きという人から,特定の分野にこだ
-
-
【セミナーメモMM】Amazon Kindleダイレクト出版のセミナー
始まりは起業家達の「勉強会」から 今日はこんなセミナーに参加してきました。 Amazon Kin
- PREV
- 【本】『考える鉛筆』
- NEXT
- 【本】『東京ラブストーリー After 25 years』