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【映画】『エヴェレスト 神々の山嶺』

映像化不能と言われた作品の映画化

昨年秋に「ついに映画化される」という情報を耳にして,ずっと楽しみにしていた映画がありました。

それが『エヴェレスト 神々の山嶺』です。

主演はひらパーの園長こと(?)岡田准一。
岡田准一は,深町というカメラマン役。

深町は,エヴェレスト遠征隊の記録係としてネパールにやってきましたが,遠征は隊員2名の転落死という形で失敗に終わります。

くすぶるものを抱えながら,ネパールの街をさまよう深町は,ふと目にしたショーウインドウの中に一台の古びたカメラ,Vest Pocket Kodakを見つけます。

このカメラはジョージ・マロリーがかつてエヴェレストに挑戦したときに携えたものと同じモデル…

マロリーは果たしてエヴェレスト登頂に成功したのかどうか…ひょっとするとこのカメラは,その山岳史上の謎を解くカギとなるかもしれない…

物語はそこから始まります。

魅力に溢れた原作

私が初めて『神々の山嶺』に触れたのは漫画の方でした。

ビジネス・ジャンプに連載されていた谷口ジローの漫画です。
なんとも魅力に溢れた漫画で,そこからあらためて原作の小説に入りました。

原作は夢枕漠。

今は角川版もありますが,最初に買ったのは,集英社文庫版です。

圧倒的な筆力です。

8000mを超える世界がいかに過酷か。
それに立ち向かう男達の思い。

最初にご紹介したとおり,1台のカメラをめぐって,そこから山岳史上の謎を解く(かもしれない)というミステリー小説でもあり,人の限界を超えた,神々の領域へのあくなき挑戦という冒険小説でもあります。
また,深町という男の成長の物語でもあります。

そういうさまざまな要素がうまくブレンドされた迫力あるのがこの小説です。

果たして映画の出来はどうか?

今回はTOHOシネマズ梅田で鑑賞しました。

THEATER1は,大迫力の画面で鑑賞することができます。

最近は,京都シネマでばかり映画をみていたので,久々に大画面で見ると「やっぱりいいなー」とまずそこから。

この映画はできるだけ大きな画面で,音響も良いところで見るのをお勧めします。

あらゆる方向から吹き付ける風,雪,圧倒的な迫力の眺め…それは大きな映画館ならではのものです。

まずその点で,原作のスケールをちゃんと表現しようとしていて○です。

主人公のカメラマン深町は岡田准一。

あえて難を言えば・・・原作に比べて最初からかっちょっいい。男前。
まあそりゃそうなんだけど,原作は,うじうじ君なところもあるところから,それを抱えつつの成長物語だったので,そこは映画の尺では描ききれないからということでしょう,バサッとチェンジ。

でも,映画だけ見た人には違和感は特にないでしょう。

深くかかわることになる羽生丈二役には阿部寛。いいですねえ。この野獣的な役は似合います。

もっと凄さがわかるようなシーンがあっても良かったのになぁ。これだけかっちょ良いんだから,もっと見たかったなあと思いました。

岸涼子役の尾野真千子は…この人は本当に不思議な女優さんで,良い存在感を持っていますが,カメラをめぐるエピソードをごっそり削っている分,ちょっと扱いが宙ぶらりんになってしまった感が残念かな。僕は好きな女優さんなので,出てらしたということで満足ですが。

全体としてはあえて70点ぐらいにしておきたい

原作ファンすぎるので,これでも甘めです。映画としてだけなら十分楽しめる仕上がりです。

細かいツッコミ カメラ好きとして

原作では深町が持っていくカメラは,Nikon F3となっています。
F4ではいざというとき不安なので,機械的な動作もするF3を持っていく・・・という記述があります。

しかし,多分大人の事情で,映画ではCanon F-1です(newの方)
でも,レンズは原作では40-80mmのズームと500mmのレフレクックスレンズの2本のみ・・・という記述に近い,35-70mmと500mmのレフレックスレンズですね。

500mmの超望遠なのにコンパクトで軽量という点で,確かにエベレストで写真を撮るなら良い選択だよなぁと思わせるところです。

またフィルムカメラですが,巻き上げしているのに,巻き上げクランクが回ってなかったような・・・
フィルム入れて撮影してないよなぁ。マニアはそういうところが気になります。
(全編で確認してないのですが,回っているシーンがあったらごめんなさい)

この辺は,カメラ好きの戯言ということで。。。

原作関連の本の紹介

以下に挙げるのは全部私自身も所有しているものです。

原作の小説に関しては,上に挙げた集英社文庫本以外に,今回の映画化と関連して角川からも出ています。
「エヴェレスト」とタイトルをつけていることにファンからの反発もあるようですが…

私はKindle版も欲しくなったので購入する際,紙の本と同様に上下に分けている集英社版ではなく,1冊にまとめていて,かつ夢枕漠の他の関連書籍も一緒にしてくれている角川版を買いました。
電子特別版です。

漫画は文庫本版がこちら。

豪華愛蔵版のような大きな版が欲しい…とずっと思っていたのですが,映画化に合わせて出たのがこちら。

「豪華」というのがないのは,紙質がやや落とされているところと,カラーページがないこと。
そこは残念ですが,いつかまた「豪華愛蔵版」でさらに大判で迫力あるものが出てくれることを期待しつつ,今はこちらで楽しんでいます。

文庫本版の方が紙質がいいので,小さくてもコントラストははっきりしていますが,やはり谷口ジローの画力の凄さを味わうには大きい方がオススメです。

 

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