【教育】興味を持たせることの大切さ
コンパスと定規があれば無敵
小学校高学年の頃のことだと思います。
角川文庫から出版されていた『数学物語』(矢野健太郎著)と出会いました。
なにぶん,もう30年以上も前の話ですから細かいことは覚えていませんが,
楔形文字の数字,ローマ数字の話
古代ギリシャの幾何学の話
デカルトやニュートンなど偉大な数学者の話
など,わかりやすく書かれてあったと記憶しています。
くさび形文字での筆算の図もあって,「アラビア数字がいかにわかりやすいか」というのを知ったのもこの本でした。
※当たり前に使っている数字ひとつとっても,実は面白いことが背景にあるんだというのが新鮮でした。
その中だったと思うのですが,古代ギリシャの数学者たちは
コンパスと定規だけで図形の問題を解く
ということに情熱を傾けた,というのが出てきました。
ギリシア三大作図問題
その中でも,「ギリシア三大作図問題」というのがあります。
円と同じ面積の正方形を描け
任意の角を三等分する
与えられた立方体の2倍の体積を持つ立方体を描け
書かれてある問題文自体は非常にシンプルなので,簡単に解けそうな気がします。
しかしながら,結局これらの問題は19世紀になって「コンパスと定規だけでは解くことは不可能」ということが証明されます。
2000年以上にわたって人々を悩ませるというのがすごいと思うのですが,幼心に「コンパスと定規でいろいろ書くのは面白い」ということも印象付けられました。
正五角形を作図せよ
正三角形や正方形はすぐに書けるようになるのですが,正五角形は簡単にはできませんでした。
当時通っていた塾の先生から「やってみろ」と投げかけられて「よし解いてやる!」とかなりの期間,あれやこれやと試行錯誤をしたのを覚えています。
「これで書ける!」と思って先生に見せたところ「むむむ?これは今まで見たことないな」となって非常に喜んだのですが,翌週に「非常に惜しかった。図では書けているように見えているけど,正解じゃない」という不正解宣告が・・・
図では「直線」や「点」といっても微妙なずれが生じますからそれらが積み重なって,解けたように見えたようで,方程式を立てて解いたら,一辺の長さが違っていたのがわかったそうです。
図形と方程式
このときの「図形の問題を計算で解く????」というのがとにかく衝撃的でした。
よくはわからないけど,高度なことを学ぶとそういうことができるんだ,というのがワクワクさせられました。不正解でしたけど,ドキドキした話だったと思います。
そして,今でもそのときの先生に感謝しているのは,私が書いた図形を家できちんと検証してくださったことです。小学生のやったことをそうしてきちんと受け止めてくれた先生の存在というのは非常に大きいことでした。
自分がしてもらって嬉しかったこと,言われて元気が出たこと,やる気が出たことは,自分も子供たちに伝えていきたい・・・と思っているのですが,そういう中で心の中のお手本の先生です。
数学物語(角川ソフィア文庫)
私が読んだ本はすでに絶版ですが,今は図も見やすくなった新版が出ているそうです。
Kindle版もあるようです。
1961年初版ですから,今から半世紀以上前の本ですが今でもいろいろ楽しめることはあるはずです(当時は未解決の難問の話も出てくるかも?)
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