【易経】「音読まとめ(2周目)」『乾為天』
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易経
『易経』音読まとめ その3(2周目)
『易経』の音読は2月以降,毎日続けていますが,1周目については,以前に一度まとめました。
【易経】「毎日音読」まとめ(その1)周易(上)
【易経】「毎日音読」まとめ(その2)周易(下)
今回は2周目の音読をまとめます。
1周目の時は「毎日,ひとつの卦を読む」としたので,「乾為天」「坤為地」はものすごく時間がかかりました。この二つには「文言伝」がついているからです。
でも,乾為天,坤為地は最重要な卦ですから,さっと流してはいけない。
ということで,2周目は,各爻辞ごとにひとつひとつ丁寧に読み込むことにしました。
その分,二つの卦を読み終わるまでに1カ月以上かかりましたが,それをここにまとめます。
『易経』の中でも大切な部分なので,乾為天,坤為地,それぞれにわけます。
今回は乾為天についてまとめます。
「乾為天」まとめ
【乾為天】乾は,元(おお)いに亨(とお)りて貞(ただし)きに,利(よ)ろし:乾はすべてが陽爻,天を表す。この卦が出たときは,望みは多いに亨るであろうし,常に貞正の態度を保つべしという。「元亨利貞」は,易の根幹と言える。
【毎日易経】大いなるかな乾元,万物資りて始む(乾為天・彖伝)なんと偉大なことよ,乾元は!全てのものはこれが元となって始まるのである。乾は全て陽爻でできているパワーに満ちあふれた卦。各位には龍が例えられており,易のダイナミックさのまさに代表。やはり乾と坤は他の卦とは格が違う。
【毎日易経】象に曰く,天行は健なり。君子もって自彊して息まず(乾為天・象伝)天体の運行は健やかで一日も止むことがない。同じく君子も自ら止まることなく刻苦勉励すべし,という。君子たろうとするものは,この乾為天にこそ基準を置いて,自ら強く学び,自ら立つ気概が必要ということか。
【毎日易経】文言に曰く,元は善の長なり(乾為天)文言伝の簡潔なまとめの文の冒頭。ここでは元亨利貞の全ての意味を説明する。「元」は物の始め。全ての善で最も大事なものという。元亨利貞は君子として体現実践すべき四つの徳だと説いている。
【毎日易経】確乎としてそれ抜くべからざるは,潜竜なり(乾為天・文言伝)「潜竜」は才能がありながらもまだ世に出ることのない,不遇な下積み時代。それでもしっかり志を抱き,苦しくてもじたばたしない。ひたすら力を蓄えることに専心する。不動の意志,つまり「確乎不抜」こそ潜竜の本質。
(追加tweet)乾為天の文言伝はとても大事な部分なので,各爻の解説をひとつずつじっくり読み解いてみることにします。今日は初九,潜竜でした。明日は九二,見竜。
【毎日易経】庸言これ信にし,庸行これ謹み(乾為天・文言伝)九二は「見竜」。潜竜が地上の水田に現れたところで,見習いの立場。「庸言庸行」は,日常の言葉に噓偽り,飾りが無く,行動は時に適ったものであるように見極めていくことを見極めるということ。基礎修行時代の大切さよ。
【毎日易経】故に乾乾す。その時に因りて惕る(乾為天・文言伝)竜の第三段階。日中はひたすらに努力し,夜には一日をしっかり省みて惕れ慎むべしと。下卦の最上位故に「危うい」地位だが,この心がけがあれば咎なしという。独り立ちし始めの時期の戒めとして,これ以上の言葉は無い。心すべし。
【毎日易経】上下すること常なきも,邪をなすにはあらざるなり(乾為天・文言伝)九四の竜は飛び上がったり淵にいたりなど不安定な状態ではあるが,それは適切な時に力が発揮できるよう,機が熟すのを待ちながら,日々精進を重ねている姿であるということ。だから邪なわけではないという。
【毎日易経】子曰く,同声相応じ,同気相求む。水は湿えるに流れ,火は燥けるに就く。雲は竜に従い,風は虎に従う(乾為天・文言伝)九五飛竜。声気が相通じる者は求めあう。同じ志,同じ方向性を持つ人が集まり共鳴共振すると,大きな力を生み出し,一人ではなし得ない大きなことが実現する。
【毎日易経】貴くして位なく,高くして民なく,賢人下位に在るも輔くるなし(乾為天・文言伝)上九亢竜。リーダーとしての頂点を超えたにも関わらず,驕りたかぶり,結果,失脚していく状態。トップの座にあることは良いが,人の意見に耳を傾けなくなったら終わりである。戒めとすべし。
【毎日易経】乾元の用九は,天下治まるなり(乾為天・文言伝第三節)「用九」は乾為天のみの特例的な爻辞。潜竜から亢竜まで竜の様々な姿を示し,陽をいかに良く用いるかを示している。才能があっても,徳をひけらかすことなく,時に適った振る舞いを心がけるよう戒めているか。
【毎日易経】あるいは躍りて淵に在りとは,乾道すなわち革まるなり(乾為天・文言伝第四節)九四について。下卦から上卦に移ったところであるから,言うなれば,乾の道の変革のタイミングだということ。将来の躍進を目指すとともに,なお下卦の心構えを忘れないようにすればよろしいという。
【毎日易経】大なるかな乾や,剛健中正,純粋にして精なり(乾為天・文言伝第五節)第五節は彖伝を敷衍して説明する。なんと偉大なことよ,乾は,と感嘆する。全ては乾に始まるが,その徳を声高に口にしない。聖人は六竜になぞらえて行動を起こし,徳を広める。乾はまさに「完璧」な卦である。
【毎日易経】潜の言たる,隠れていまだ見われず,行いていまだ成らざるなり(乾為天・文言伝第六節)君子は完成した道徳というのが行動の基準。潜竜はまだ言動ともに未熟で,十分に力が発揮できる段階にない。それゆえ「潜竜用うるなかれ」,君子はまだ用いてはならないのだと説く。
【毎日易経】易に曰く,見竜田に在り,大人を見るに利ろしとは,君徳あるなり(乾為天・文言伝第六節)潜竜がまだ未熟,未完成であったのに対して,九二の見竜はすでに君主たるだけの徳が備わった段階という。その成長は学問を納め,寛大さと仁愛の心を備えるよう努めた賜物である。
【毎日易経】上は天に在らず,下は田に在らず。故に乾乾す(乾為天・文言伝第六節)九三の竜は内卦と外卦の狭間にあって,第五爻の天にもいないし,第二爻の田にいない。だから「乾乾」,終日努め励み,その時々に応じて懼れ慎む。そうすれば咎はないという。立場と能力の弁えができてこそ。
【毎日易経】中は人に在らず,故にこれを或す(乾為天・文言伝第六節)九三と同じく「上は天に在らず,下は田に在らず」とあって,続いて「中」,つまり第三爻からも外れているので,或(わく・あるいは)とする。「或」は疑うことを意味し,疑って行動を慎むので咎がないという。
【毎日易経】天に先立ちて天違わず,天に後れて天の時を奉ず(乾為天・文言伝第六節)九五飛竜の爻は,天地と徳を同じくし,四時(四季)の秩序を守って行動する。だから行いがすべて天の法則を遵守したものとなる。易の根本,時に適う行いを繰り返し説いている。
【毎日易経】亢の言たる,進むを知って退くを知らず,存するを知って亡ぶるを知らず,得るを知って喪うを知らざるなり(乾為天・文言伝第六節)亢竜は絶頂を過ぎたリーダー。進むだけで退くことを知らず,繁栄だけを考え,衰退に思いが至らず,利益を貪って喪うことに気づかない。戒めとすべし。
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