【本】韓非子 ビギナーズ・クラシック
名前だけは知っている
古代中国の春秋・戦国時代に様々な学者が現れ,それぞれの考えを大いに喧伝しました。
「諸子百家」の時代です。
誰もが知っている,孔子の儒教もこの時代に生まれました。
「諸子」は,孔子や孟子などの学者の方を指し,「百家」は,儒家,法家,道家などの学派の方を指します。
法家の代表例としては商鞅や韓非子が有名です。
儒家の徳治主義に対して,法による法治主義を説いた
とされますが,よくわかりません。名前は知っているけど,中身はよくわかっていないまま・・・でした。
ビギナーズ・クラシックス 中国の古典
角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」シリーズは,中国の古典の主だったものを取りあげて,文庫本の分量の中にコンパクトにエッセンスを詰め込んでくれています。
『史記』や『春秋左氏伝』などをいきなり読もうとしても大部にすぎて,最初の段階で挫折してしまうのがオチです。先に「見どころ」を知ってから本編に取り組む…という「入口」には実にいい案内になります。
この「韓非子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典<ビギナーズ・クラシックス 中国の古典> (角川ソフィア文庫)<ビギナーズ・クラシックス 中国の古典> (角川ソフィア文庫)」は,各章の概要(どのような編を取り上げ,それは全体としてどのような内容かの概説)があって,その後,本文があります。
本文は,読み下し文・原文・訳文があって,それらがある程度まとまったところで,解説がつけられます。
読み下し文と訳文だけ読んでもいいでしょうし,難しいと思えば訳文だけさっと読んで解説を見てもいいかもしれません。
とりあえず「韓非子はどんな思想の持ち主だったのか?」を駆け足で知るにはちょうどいい感じでまとまっているのです。
法家という思想
韓非子は,法による統治をメインと据えます。
なぜなら徳が非常に高い君子というものは「滅多」に現れるものではなく,徳の高い君子の出現など待っていられないからです。
おおよその君子は平凡な,普通の人間なのがほとんど。だから,きちんと決まりを作って,それに則って統治するのがいいとします。
ただ,法だけでは治めきれない。いかに治めるかのテクニックも必要。それを術としています。
また人間は「利」によって動くもので,「情愛」を信じません。その辺りは儒家とは考えを異にします。
そういった考えがまとめられたのが「韓非子」という書物です。
これまであまり詳しく知らなかった分野なので,非常に興味深く読むことができました。
ただ,まあ,「ビギナーズ」ですからちょっと簡潔ではあるので,今度はもう少しごついものにもチャレンジしてみようかなとは思いました。
その前に,シリーズの他の本で読んでいないのもあるので,順に読んでいきたいところです。
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