*

【天文】皆既月食を観測しよう

公開日: : おススメ, 日常

3年ぶりの皆既月食

明日,10月8日は,3年ぶりの皆既月食が全国で見られます。
石垣島より西では,月が欠けた状態で上ってきますが,それ以外の地域では,部分食からじっくり観測できます。

久しぶりの皆既月食で,しかもお天気もよさそう。私も楽しみです。

IMG_3035

3年前の皆既月食 カラースケッチ

皆既月食ってどんなもの?

皆既月食は,地球の影に月が入り込むことによって起きる現象です。「地球の影」と聞いてもなかなかピンとこないかもしれませんが,太陽の光を地球が遮って,宇宙のスクリーンに影を落としている…その影の中を月が通る…と考えると,これはこれでなかなか壮大なロマンあふれる現象なのです。

さて,図付きでご説明したいのですが…なんと私の天体観測スケッチブックから,20年前に書いたサークルの同好会誌の手書きの原稿が出てきたので一部をご紹介。手書きの図がありました。

IMG_3037

手書きの皆既月食説明図

左の大きめの円が地球で,左側から太陽の光が来て,その影を月が通り過ぎる…という図です。

直接太陽の光が月に届かなくなりますが,皆既月食では月は赤く見えます(赤銅色とも言います)。これは大気を通過した光が回り込んで月の届くからです。

ダンジョンスケール

皆既月食はその時の大気の状態によって明るめに見えたり暗く見えたりします。

その「段階」をダンジョンスケールというスケールで示します。

0:極めて暗い。肉眼ではほとんど見えない。
1:暗い。灰色・褐色,表面模様の識別困難
2:暗赤色・錆色。本影付近かなり暗い
3:レンガ色。本影縁は明灰色・黄色
4:明るい。赤銅色・オレンジ色。本影,半影の境界域が青みがかる

過去の皆既月食では,1982年のはエルケチョン火山の噴火の影響で暗かったと言われています。1990年2月の皆既月食では3〜4の明るさがありました。
初めて皆既月食を見る方は,どのくらいの明るさなんだろ?と考えながらご覧になってみてはいかがでしょう?

IMG_3036

1990年2月皆既月食のカラースケッチ

皆既月食を観測しよう

さて,この皆既月食ですが,肉眼でも十分楽しめる天文現象ですが,もし双眼鏡や望遠鏡があればさらに楽しめます。
中でもスケッチは手軽に楽しめて,後から見返した時に情報量もたくさんあって実に優れた観測法です。

この記事の一番上のスケッチは2011年12月の皆既月食です。
この時は確か部分食の間は曇っていて半ば諦めていたところが何とか2枚程度スケッチができたものです。

すぐ上にあるたくさんカラースケッチをしているのは,1990年,大学1回生の時の観測記録です。
真冬の夜中,2時半頃から5時45分まで,3時間以上,15分おきに1枚のスケッチを完成させるという観測でしたが,今から思えば若いからできたなと(笑)終わった後,3時間椅子に座りっぱなしだったので,足が硬直して前にゆっっくり倒れこんだ記憶があります。

観測に必要な道具

肉眼でも見られますが,小さいのでも良いので双眼鏡があるとさらに良く観察できます。

一番上の月食スケッチは10×42(10倍42mm)の双眼鏡での観測です。
学生時代のは7×50の双眼鏡です。

そして色鉛筆。部分食から見るなら黄色と黒がメイン。皆既の間は赤銅色なので,赤・朱・橙・黄・茶などさまざまな色が必要です。その他,青・緑・紺・紫なども揃えたいところです。
というのも…紫っぽいところがあるのはもちろんですが,部分食の欠け際で,どうも緑っぽい色も見えるように思えます。目の錯覚によるものかもしれません(色の認識での錯覚)。そういうのも記録できるように用意します。基本的には12色の色鉛筆でも足りますが,24色あるとさらに良いでしょう。

明かりは普通の蛍光灯のようなものがベスト。LEDでもいいですね。まぶしければトレーシングペーパーなどで減光しておきましょう。

時計は正確なものを。記録として時間は必須です。

スケッチ用紙は,国立天文台の皆既月食のページにあります。

国立天文台

皆既月食2014年10月8日

このページの「観察の仕方」の下の方にPDFデータが用意されています。
私は…1993年の観察用に,スケッチ用紙丸ごと1冊コピーして用意したのがあるので,それを使います(一番上の用紙)

でも,明日は皆既の間に家に帰れるかどうか…という感じですが。

意外な見所

さてここからは意外な見所としてかなりマニアックな話を。

1 皆既中,コペルニクス等の光条がどのように見えるかを食の始まる前と比べてみると面白いかもしれない

2 皆既中,明るく光る光点が数カ所見られます。それらがいつ,どこで見えたかを,後から月面図と照らし合わせてみても面白い。これは良く分かりません。なぜ光るのか,どこでも見えるのか。スケッチされる方は注意してみてください。

3 アリスタルコスの周辺も何か不思議な見え方しないかにも注目

これらは双眼鏡よりも望遠鏡向けの観測テーマですが,もし見られるチャンスがある方は是非気にしてみてください。

以上,今でも心は天文少年の須田からでした。

 

関連記事

【おススメ】お出かけ時のマインドマップ道具

いつでもどこでもマインドマップ マインドマップの良いところはどんなことにも使えることです。

記事を読む

【本】『易経 ビギナーズ・クラシック 中国の古典』

「君子,占わず」は本当か? 高島嘉右衛門に関する本(『横浜をつくった男』『乾坤一代男』の2冊)を読

記事を読む

no image

【本】世界で一番素敵な 夜空の教室

一番明るい星ってどれ? ずいぶんと更新をさぼっていました。 今日は久しぶりの投稿ですが,「星

記事を読む

no image

【iPhone】計算機〜思わぬ発見〜

知っている人は知っている,知らない人は知らない… 当たり前の話なのですが, 「こんなとこ

記事を読む

【絵本】『りんごかもしれない』

親父の一言 「なんかマインドマップに近いもんがあるんちゃうか?」と親父がいきなり切り出したのが,「

記事を読む

【マインドマップ】ペンと紙で楽しく遊ぶ

ペンと紙でワクワクする ようやくお気に入りのペンと紙のコンビができました。 それがどれくらい

記事を読む

【本】Hogwartsの図書館から(Harry Potter)

Harry Potterの世界 真面目な本もいいのですが,昔からファンタジーの世界は大好きで,ここ

記事を読む

モチベーションのお話 〜勉強と動機付け〜

『ラジオ英会話』 久々の復活 4月からNHKの『ラジオ英会話』を久しぶりに聞き始めて,しばらくは熱

記事を読む

no image

【山歩き】交野市・竜王山

今日はゴールデン・ウィーク初日。 夕方から気分転換に山歩きにいってきました。 いつも

記事を読む

【本】『壬生義士伝』(浅田次郎著)

浅田次郎との出会い 浅田次郎の本との最初の出会いは,20年近く前に『ビジネスジャンプ』に連載されて

記事を読む

no image
iMindMapアプリでセミナーメモ

マインドマップでセミナーメモ セミナー,講演会などに参加した時に,そ

【本】『東京ラブストーリー After 25 years』

思いがけない単行本化 昨年1月下旬発売の『週刊ビッグコミックスピリッ

no image
【本】『小暮写眞館』

ブログ再開 気がつけば半年近くもブログを更新していませんでした。

【本】『考える鉛筆』

やっぱり鉛筆が好き 文房具好きにも色々なタイプがあって,なんでも好き

【日常】あれこれお買い物

気楽なエントリー 久しぶりのブログです。 毎日メルマガで発信し

→もっと見る

PAGE TOP ↑